所得税の確定申告書は
納税者の住所地を所轄する税務署長に対し提出するのが原則です
届出により事業所を納税地とすることもできますが
貸付不動産の所在地を納税地とすることは原則できません
確定申告書の提出先の原則
所得税の確定申告書は、その提出時における納税地を所轄する税務署長に提出することになっています
納税地とは、国内に住所がある場合は一般的に住所地になります
国内に住所があり、住所とは別に事業所(事業を営んでいる店舗や事務所など)などがある人は、住所地に代えてその事業所の所在地を納税地にすることができます
ただし、事業所を納税地とするためには、住所地の所在地の所轄税務署長に対して、その旨を記載した届出書を提出しなければなりません
提出する届出書は、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」です
〔手続名〕所得税・消費税の納税地の変更に関する届出手続|申告所得税関係|国税庁
不動産所得者の納税地
このように個人事業主でも事業所得がある場合は、その選択により住所地に代えて事業所を納税地とすることができます
この取扱いから、不動産所得者についても、貸付不動産の所在地を「事業所」と考えることで、貸付不動産の所在地を納税地にできるのではないかと思うかもしれません
しかし、住所地に代えて納税地とすることができる事業所は、事業に関する業務を行う場所をさし、貸付不動産自体は事業所に相当しないとされています
これは、不動産所得の規模が「事業的規模」であったとしても原則同様です
賃貸物件であるマンションやアパート、貸事務所や貸駐車場は不動産所得を生む資産ではありますが、事業所としては扱われないのです
賃貸物件の所在地を納税地とできる場合
不動産所得者の場合、賃貸物件や貸駐車場などを持っているだけでは、その所在地は事業所に該当しない旨をお伝えしました
しかし、例外的に、賃貸物件の所在地を納税地とできる場合があります
ひとつは、不動産の貸付が事業と称するに足りるものであり、なおかつ、管理事務所などを有するような場合に限り、不動産所得者であってもその貸付不動産の所在地を「事業場」として納税地にすることができるといわれています
もうひとつは、日本国内に住所をもたなくなった場合です
申告や納税は、税を納める納税者本人の納税地を所轄する税務署長に対し行うのが原則です
ですから、勤務先から海外勤務を命じられ、家族全員で海外に行くこととなり、今まで住んでいた家を賃貸することにした場合、その不動産所得の申告や納税を納税管理人が行うことになっていたとしても、納税管理人の住所地の所轄税務署長に対し行うことはできません
このように国内に住所や居所をもたなくなった場合には、そのひとの納税地は法律で決められた順番で判断されることになっており、このケースでは出国前の家屋の所在地が納税地となります
したがって、海外勤務などによる出国(家族全員)に伴って日本国内の自宅を賃貸するような場合で、国内に住所も居所もなくなったときには、貸家の所在地が納税地となり、貸家の所在地を所轄する税務署長に対し申告や納税を行うこととなります
***編集後記***
今日は外出先でハンカチを落としてしまいましたが、紛失に気付いて探しに行ったところ、届け出て頂いたようで無事手元に戻りました 皆さまありがとうございました<m(__)m>
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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