その年に個人事業を廃止した場合の確定申告
通常の確定申告と異なる点があります
特有の手続きも必要になります
事業所得の金額の計算
事業所得の計算は、その年の1月1日から事業廃止日までで計算します
代表的なものとしては、
- 減価償却費 →1月1日から事業廃止日までの期間に対応する分を計上(月割り計算)
- 貸倒引当金 →繰入れられない
- 事業廃止後に生じた費用・損失 →事業廃止年分に必要経費に算入する
- 債権の整理 →回収不能な債権は貸倒損失として必要経費に算入
- 債務の整理 →債務免除された金額は、債務免除益として総収入金額に参入する
事業税がかかっていた方は、事業廃止年の事業税の課税見込額を、廃止年分に必要経費に参入するのを忘れないようにしましょう
資産を譲った、貸した場合
廃業時には、それまで所有していた棚卸資産や固定資産を売却したり、家事用に転用することが考えられます
固定資産を売却した場合には、事業所得や不動産所得ではなく、譲渡所得として処理します
また、これまで事業で利用していた建物や車などの資産を賃貸することもあるでしょう
その場合は、土地や建物(お店や倉庫など)の賃貸は、不動産所得となります
車や機械などの賃貸による所得は、雑所得(又は事業所得)となります
事業廃止後に固定資産の賃貸を開始した場合には、賃貸開始時から12月31日までの減価償却費を費用計上します(月数按分)
届出なども忘れずに
開業時に必要な手続きがあるように、廃業時にも提出すべき書類があります
代表的なものでいうと、
- 個人事業の開廃業等届出書
- 所得税の青色申告の取りやめの届出書
- 事業廃止届出書
「個人事業の開廃業等届出書」は、開業時に提出したものと同じ様式のもので、「廃業」時にも提出して、税務署に廃業した旨を伝えます
税務署だけでなく都道府県や市区町村にも提出したほうがよいので、税務署(国)、都道府県、市区町村への届出が1回で済む複写式の開廃業届出書を利用すると便利です
「青色申告の取りやめの届出書」は、事業をたたんだ場合でも、不動産の貸付などがある場合で青色申告を引き続き行おうとするときは提出してはなりません
「事業廃止届出書」は、消費税を納めていた場合に廃業後速やかに税務署に提出する書類です
ただし、事業廃止に伴い「消費税課税事業者選択不適用届出書」「消費税簡易課税制度選択不適用届出書 」などにその旨を記載して提出した場合には「事業廃止届出書」は提出する必要はありません
必要な手続きをしっかりしておかないと、廃業した年の翌年も税務署などから問い合わせなどがくる可能性があるので、気を付けましょう
***編集後記***
個人事業主の消費税の確定申告書の作成は、国税庁のe-Taxを利用しています
課税売上高が1,000万円以下だと「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を作成するか聞いてきたり、便利です
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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