特定口座内で源泉徴収を選択している
株式等の譲渡所得や上場株式等の配当所得は
原則確定申告が不要です
損益通算や繰越控除などのために
確定申告をする場合は申告による影響を考えて選択しましょう
源泉徴収ありの特定口座は原則確定申告不要
特定口座内で源泉徴収を選択している株式等の譲渡所得・上場株式等の配当所得は、原則、確定申告が不要です
確定申告をしない場合、特定口座内で源泉徴収を選択している株式等の譲渡所得・上場株式等の配当所得は、国民健康保険料などの算定対象には含まれません
しかし、損益通算や繰越控除等の適用を受けるために確定申告をする場合は、その適用後の所得金額が国民健康保険料などの算定対象に含まれます
健康保険料だけでなく、75歳以上の高齢者等の方の医療制度である後期高齢者医療制度の自己負担割合の判定対象にもなります
確定申告により見込まれる所得税額の還付分よりも、こうした保険料などの負担分が上回る場合がありますので、対象となる方は、確定申告による影響を考慮の上、申告するかどうかを自身で選択することになります
配当だけ所得税の確定申告をするのはアリ
上場株式等の配当所得について確定申告をする場合、つぎの3つの課税方法を選べます
- 総合課税
- 申告分離課税
- 申告不要制度
「総合課税」というのは、配当所得を、給与や年金などの所得と一緒に合算して所得税の計算をするものです
「申告分離課税」とは、所得税15.315%、住民税5%が課税されるもので、株の売買で損失がでた場合に損益通算ができるという特徴があります
一番最後の「申告不要制度」というのは、株の配当はすでに源泉徴収されているので、確定申告しなくてよいという制度です
冒頭にあげた、源泉徴収ありの特定口座の配当所得は、まさにこの制度を前提にしています
申告不要制度を選択すると、所得金額には加わらないため所得税の税率があがることはありませんが、一方で、源泉徴収された所得税額を取り戻すことはできません
一般的に、所得が少ない方は、上場株式の配当所得について「総合課税」を選択すると税負担が軽減できます
これは、所得税は所得金額に応じて税率が段階的にあがっていくためです
その場合は住民税の申告をお忘れなく
ただ、所得税で、上場株式の配当所得について「総合課税」を選択すると、その適用後の所得金額が国民健康保険料などの算定対象に含まれてしまい、保険料や医療費の支払など思わぬところで負担を感じることがあります
そこで、株式等の譲渡所得・配当所得について、住民税(都道府県民税/市区町村民税)の税額決定納税通知書が送達される日までに、確定申告とは別に住民税の申告をすることにより、所得税と異なる課税方式(総合課税・申告分離課税・申告不要制度)を選択することができますので、これを利用しましょう
住民税で配当所得の申告不要制度を選択すれば、その配当所得は、国民健康保険料の算定対象や後期高齢者医療保険料の負担割合の判定基準には含まれないことになります
所得税と住民税で別々の課税方式をとることができるのは、あまり知られていないようです
所得税の確定申告を済ませたら、配当所得がある方は、その申告による住民税やその他の影響を考えて、住民税の課税方式を考えてみるとよいでしょう
***編集後記***
今日は、配当所得について所得税・住民税で違う課税方式がとれるという件での相談に応じました
報道などで知る場合もあるようですが、一般の方にはかなりわかりにくい制度ですよね
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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