所得税で申告した配当金や株の売却益を
住民税では「申告しない」を選択すると
翌年度の都道府県民税・市町村民税の額や社会保険料にダイレクトに反映されますが
所得控除の額など細かいところでも所得税と住民税で違ってくることがあります
所得税と住民税で別の課税方法を選択するメリット
確定申告が不要な上場株式等の譲渡所得や配当所得については、所得税と住民税とで別の課税方法を選択することができます
たとえば、所得税で確定申告すると、配当控除をうけられて還付金額がおおくなるというメリットがある場合でも、住民税で確定申告するとかえって負担が増えてしまうことがあります
このような場合に、申告不要を選択できる上場株式等の譲渡所得や配当所得を住民税では確定申告しないで5%の特別徴収(天引き)で済ませてしまうというのが、所得税と住民税で別の課税方法をとる直接的なメリットです
そして、住民税の額以上に注意が必要なのは、上場株式等の譲渡所得や配当所得を所得税で申告し、住民税でも同じ課税方式をとっていると、住民税での合計所得金額や総所得金額等に繰り入れられたままになってしまうことです
この結果、翌年度の国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料が上がったり、医療機関窓口での自己負担割合が増えてしまう可能性もあります
家族の被扶養者になれる場合も
一方、住民税で、上場株式等の配当所得や源泉徴収ありの特定口座に係る上場株式等の譲渡所得等の申告不要制度を選択すると、その配当所得や株式等に係る譲渡所得は、住民税の「合計所得金額」や「総所得金額等」に算入されません
このため、住民税で上場株の譲渡所得や配当等の申告不要制度を選択した結果、所得税では扶養控除や配偶者/配偶者特別控除などの控除対象から外れていても、住民税では家族の被扶養者となれる場合があります
これは、扶養控除、配偶者/配偶者特別控除の所得判定につかわれる「合計所得金額」が、住民税で申告不要制度を利用すると、所得税の合計所得金額と異なった(より少ない)ものとなるためです
住民税で申告不要制度を選択して、合計所得金額が48万円以下となり、家族の被扶養者となる場合には、扶養主となる家族がそうした控除を追加する手続き(住民税の申告)が別途必要になります
所得控除の額が変わることもあります
扶養控除や配偶者/配偶者特別控除は「合計所得金額」で判定しますが、「総所得金額等」で判定する医療費控除、寄附金控除、住民税所得割の非課税限度額などにも、住民税での申告不要が影響を及ぼすことがあります
たとえば、医療費控除の計算でいうと、
所得税では、
支払った医療費の総額ー10万円(又は総所得金額等の5%)
で計算していても、
上場株式等の譲渡所得や配当所得を住民税で申告しないことを選択したことによって、住民税の「総所得金額等」が少なくなり、住民税の医療費控除の計算では「10万円」ではなく、住民税の「総所得金額等」の5%で計算することになるような場合です
医療費控除のケースよりは少ないとおもいますが、「総所得金額等」を判定に用いる寄附金税額控除額でも所得税と住民税で差異が生じる場合があります
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