2017年5月にスタートした法定相続情報証明制度
利用範囲の拡大のため
2018年4月1日よりいくつか変更がありました
法定相続情報証明制度とは
2017年5月よりスタートした、法定相続情報証明制度
このブログでも何回か紹介しました
法定相続情報証明制度を利用すると、被相続人と相続人の戸籍謄本の内容を一枚にまとめた「法定相続情報一覧図の写し」が発行されます
戸籍謄本一式の代わりに、この「法定相続情報一覧図の写し」を提示したり、提出するだけで、相続の際の不動産の名義変更や、金融機関での預金の払い戻しや名義変更などにも利用できるというメリットがあります
法定相続情報証明制度が創設された主な目的は、不動産の名義変更(相続登記)の促進です
とはいえ、相続する財産に不動産がない場合であっても、この制度を利用することは可能
たとえば、金融機関の預金口座の相続手続きや車の名義変更などでも利用でき、戸籍謄本一式を必要とする相続手続を複数の機関で行う際に、同時進行で、費用をかけずに相続手続きを進めることができます
ただし、相続税の申告の際には従来通り戸籍謄本一式が必要であり、「法定相続情報一覧図の写し」を利用することができませんでした
2018年4月1日からの変更点
法定相続情報一覧図の記載事項やその取扱いが2018年4月1日から以下のように変更しました
- 被相続人との続柄を記載することに
- 被相続人の最後の本籍も記載できるように
- 相続登記等における相続人の住所を証する情報の取扱いについて
1.被相続人との続柄の記載について
法定相続情報一覧図には、相続人に関する情報として,被相続人との続柄を記載する必要があります
この続柄に関して、これまでは、今は、被相続人の子どもであれば、実子であるか養子であるかにかかわらず「子」とのみ記載していましたが、今回の変更により、原則として戸籍に記載される続柄(たとえば、子どもなら「長男」「長女」「養子」など)を記載することになりました
なお、申出人の選択により、これまで通り続柄について「子」と記載しても差支えはありません
しかし、この場合には、後述するように、相続税の申告など、法定相続情報一覧図の写しを利用できない手続きがあります
2.被相続人の最後の本籍について
法定相続情報一覧図には、被相続人の最後の住所を記載しています
この最後の住所に加えて、申出人の選択により、被相続人の最後の本籍も記載することができるようになりました(記載可能事項)
3.相続人の住所を証する情報について
法定相続情報一覧図に相続人の住所が記載されている場合には、法定相続情報一覧図を利用した相続登記の申請時に、その相続人の住所証明情報(住民票の写し)の添付が不要になりました
相続登記時に住民票の写しが不要になるのであれば、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する(その際には法定相続情報一覧図の交付申し出にその相続人の住民票の写しが必要です)メリットが感じられますね(以前、申出をしたときにはメリットが感じられませんでした)
相続税の申告書の添付書類に法定相続情報一覧図
上記3つの変更点のうち、1.被相続人との続柄の記載についてが、相続税申告の際に関係する重要な変更点です
戸籍に記載される続柄(たとえば、長男、長女、養子など)を法定相続情報一覧図に記載するようになったことにより、原則として相続税の申告書の添付書類に法定相続情報一覧図の写しを使用できるようになりました
しかし、前述したように、申出人の選択により、これまで通り続柄について「子」と記載した場合には、相続税の申告書の添付書類に法定相続情報一覧図の写しを利用することはできません
これは、従来通りに、被相続人の子どもであれば、実子であるか養子であるかにかかわらず「子」と表記していると、税務署側で実子と養子を区別できないためです
相続税対策としてむやみに養子縁組を組むことのないよう、相続税の計算上で相続人として含められる養子の数が決められています(実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで)
法定相続情報証明に「戸籍に記載される続柄」を記載することにより、実子と養子の区別がつき、とくに相続人のなかに養子がいる場合に、相続税の計算上相続人に含められる養子の数を判別できることで、相続税の申告書の添付書類としても利用可能となりました
法定相続情報証明制度を利用するなら、相続発生後、各種手続きを始める前に、法定相続情報一覧図の作成と申出をしてしまうと、その後のいろいろな手続きで活用できます
相続税の申告書の添付書類としても利用できるのであれば、今後は早い段階で法定相続情報証明制度を利用して、各種手続きの効率化をはかってみてもよいでしょう
***編集後記***
子どもの入学式へ
新入生だけでなく新入社員も、たくさん見かけて新年度を感じる一日でした
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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