相続に備えて生前にできることといえば
遺言を残すこと
代表的な遺言の方法には
自筆証書遺言や公正証書遺言があります
自筆証書遺言か公正証書遺言か
自筆証書遺言は、遺言者が全文を自分で書き、作成の日付を記入して署名押印して作成する遺言書です。
自分で作成できて手軽ですが、その分、訂正した場合の方式が間違っていたり、内容に不備がある場合、せっかく作成した遺言の効力をめぐって紛争となったり、偽造や変造される可能性があります。作成したものの発見されなかったり、紛失してしまったり、破棄の危険もあります。
また、遺言者の死亡後には、自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での遺言書の検認手続きが必要です。
これに対し、公正証書遺言は、公証役場の公証人が、証人2名の立ち合いのもと、遺言する人の話を聞いて作成するものです。
公証人とは、裁判官など法律実務に長く携わり、法務大臣から任命された法律の専門家です。
このため、公正証書遺言は法律的にみて不備がなく、自筆証書遺言のように家庭裁判所の検認手続きも不要なうえ、原本が公証役場で保管されることから、偽造や変造の恐れがありません。
このように公正証書遺言は、自筆証書遺言と比較して、様々な利点があり、生前の対策としては最も有効といわれています。
公正証書遺言の作成の仕方
では、公正証書遺言はどうやったら作成できるのでしょうか。
- 公証役場を選び、必要な資料等を確認する
- 遺言に必要な資料の準備
- 集めた資料を持参し、公証役場で下打ち合わせをする
- 公証人が遺言日までに遺言公正証書の原稿を作成する
- 遺言当日は証人2名立ち合いのもと遺言公正証書の内容を確認。遺言者、証人、公証人それぞれが署名押印して、遺言書が完成。その正本と謄本を受け取り、手数料を支払う
これが大まかな流れです。
1.公証役場を選び、必要な資料等を確認する
公証役場は、日本公証人連合会のホームページの「公証役場一覧」を参考にして、遺言者が足を運びやすいところにします。
全国の主要都市にあり、例えば、神奈川県内なら15か所あります。
執務時間は、平日の9時から17時までで、12時から13時は昼休みとしているところが多いようです。電話をかける際には注意しましょう。
2.遺言に必要な資料の準備
遺言をする場合、次のような資料が必要となります。
- 遺言者の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)1通
- 遺言者と相続人の続柄がわかる戸除籍謄本各1通ずつ
- 相続人以外の方に遺贈したい場合は、その方の住民票1通
- 財産についての書類(不動産の場合は登記簿謄本と固定資産評価証明書、不動産以外の財産については内容のわかるもの)
- 遺言執行者を決めておく場合は、その方の氏名・住所・生年月日・職業を記載したメモ
- 証人2名の氏名・住所・生年月日・職業を記載したメモ
なお、適当な証人がいない場合は、公証役場で証人を斡旋してくれますが、費用がかかります。
3.集めた資料を持参し、公証役場で下打ち合わせをする
資料がそろったら公証役場に電話して下打ち合わせの日を予約します。
予約した日時に、用意した書類をもって遺言者本人が公証役場に足を運び、公証人に遺言の内容を説明します。
次回(遺言日)の日時を公証人と調整して決定します。
4.公証人が遺言日までに遺言公正証書の原稿を作成する
公証役場を訪ねても、その場ですぐに遺言公正証書が作成されるわけではありません。下打ち合わせから遺言公正証書の完成までに日数を要します。
公証人とよく打ち合わせをして、公証人が作成した文案に間違いがないかファックス等で確認をすることもあります。
5.遺言当日は証人2名立ち合いのもと遺言公正証書の内容を確認。遺言者、証人、公証人それぞれが署名押印して、遺言書が完成。その正本と謄本を受け取り、手数料を支払う
証人立会いのもと、公証人が遺言書を読み上げます。
その内容を確認して、まず遺言者が署名押印、次に証人が署名押印、最後に公証人の署名押印がされると遺言書が完成します。
費用の目安
手軽に作成できる自筆証書遺言とは異なり、公正証書遺言は財産額に応じて所定の手数料がかかります。
相続人が1人の場合、公証人に払う手数料は以下の通りです。
複数の人に相続させる場合には、各相続人それぞれが相続する財産額に応じて手数料がかかるため、その合計額がその公正証書遺言の手数料の額となります。
公正証書であるため、所定の手数料がかかりますが、公証役場での相談は無料です。
自分の考えている遺言を的確に遺言公正証書としてもらうためにも、事前に公証人に相談して、法律的な問題点や表現などについてアドバイスを受けましょう。
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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