判断能力が不十分な方々が不利益を被らないように
支援・保護する成年後見制度
被相続人が成年被後見人であった場合
通常の相続と異なるのはどのような点でしょうか
成年後見制度と相続税
2000年4月にスタートした成年後見制度。
高齢者の占める割合が年々増加するにつれ、本人の判断能力に応じて、家庭裁判所が選任した後見人等が援助を行う、その制度が周知されてきました。
相続税申告の現場でも、被相続人が成年被後見人であるケース、相続人のひとりが成年被後見人であるケースに遭遇するようになりました。
相続人が成年被後見人である場合については、国税庁が2014年3月に回答した「成年被後見人の相続税における障害者控除の適用について」の通り、成年被後見人である相続人は、所得税法と同様に相続税法上においても障害者控除の対象となる特別障害者に該当するとされています。
成年被後見人の相続税における障害者控除の適用について|国税庁
それでは、亡くなられた方(被相続人)が成年被後見人である場合には、通常の相続税の申告と異なり、留意すべき点はあるのでしょうか。
財産目録と事務報告など
成年後見人の役割のひとつは被後見人の財産管理です。
家庭裁判所により後見人に選任されると、後見人は、被後見人の財産の調査に着手し、財産目録を作成しなければなりません。
さらに、後見人は、被後見人の生活や療育看護、財産管理のために毎年支出すべき金額を予定し、年間収支予定表を毎年作成します。
そして、成年被後見人が亡くなり、成年後見が終了した時は、最終的な財産目録を速やかに作成しなければなりません。
財産目録の報告先は相続人全員です。
さらに、相続人等に財産を引き渡す際には、最後の後見人の報酬付与の申立により審判で確定した報酬額を差し引いて、事務を終了します。
預り金と後見報酬の扱い
このような経緯がある成年被後見人の財産は、後見人により管理されていたことから、後見終了時に報告された財産目録をもとに、相続発生日現在の相続財産をリストアップします。
後見人名義の預貯金とは別に、被後見人にかかる事務経費などが後見人名義の預り金口座で管理されている場合には、相続開始日現在の後見人の預り金の残高を相続人の財産に加えることになります。
また、成年被後見人の死亡により、最後の後見人の報酬付与の申立をした場合、この最後の後見報酬は、その審判が下りた額を成年被後見人の相続税の計算上、相続財産から差し引くことになります(債務控除の対象)。
***編集後記***
税理士会による成年後見人等養成研修の2日目でした。
初回の財産目録、年間収支予定表の作成、預り金口座での管理、事務経費や後見報酬、死後事務などの流れがよくわかる講義があり、被相続人の後見人から預かっていた資料の作成経緯を理解しました。
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