成年後見制度をご存知でしょうか
主に認知症や知的障害などの理由で判断能力の不十分な方々の保護・支援を目的に設けられた、この制度
成年被後見人の確定申告は、どのように行われるのでしょうか
散歩途中で
成年後見制度とは
認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身の回りの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。
また、自分に不利益な契約であっても、よく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあう恐れがあるため、このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
なお、成年後見制度は、「自己の財産の管理・処分」を「することができない(後見相当)」「常に援助が必要である(保佐相当)」「援助が必要である(補助相当)」と、判断能力の程度により3種類に分かれています。
成年被後見人の確定申告 納税地は?氏名欄は?
成年被後見人(後見される人)の確定申告は包括的代理権を有する法定代理人に当たる成年後見人が行います。
家庭裁判所が選任する成年後見人は、本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて、本人の親族以外にも、法律・福祉の専門家その他の第三者から選ばれます。
ただし、あくまで成年後見人は法定代理人ですから、申告書の提出先は、成年被後見人の住所地など、今まで成年被後見人が使っている場所を納税地とする所轄の税務署となります。
なお、成年被後見人の確定申告書の「氏名」欄には、どのように記載するのでしょうか
法定代理人である成年後見人の住所、氏名、押印が必要なため、「氏名」欄には、
「〇〇〇子(被後見人氏名)」に続いて「成年後見人 ◇◇◇子」と記載、押印します。
特別障害者控除の適用
成年被後見人は、所得税法上の「特別障害者」に該当するため、特別障害者控除(40万円)が適用されます。
これは、特別障害者の要件のひとつに
「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人」
があり、成年被後見人は民法7条によりこの要件に該当するためです。
なお、所得税の障害者控除、特別障害者控除をうける場合には、障害者手帳などの提示等が必要となりますが、成年後見人の場合は、特別障害者であることを証する書面として後見の登記事項証明書を確定申告書に添付します。
成年後見には特別な資格要件はありませんが、成年後見人による財産の使い込みが事件になることもあり、税理士が専門職後見人としてサポートできる分野です。
成年被後見人の確定申告だけでなく、財産管理や収支の記録が問題なく行われているかなどのチェックは、税理士の得意とするところなので、税理士会でも「成年後見人等養成研修」が行われています。
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