土地の相続税評価について
従来の「広大地評価」が廃止され
代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が創設されました
どんな場合に適用があるのでしょうか
「地積規模の大きな宅地の評価」
面積が広い宅地の相続税評価の方法として、平成30年1月1日から「地積規模の大きな宅地の評価」が適用されています
これは、平成30年1月1日以後に相続や贈与などにより取得する宅地で、主に住宅地域のなかでも大きめな土地など一定の要件を満たすものに適用できる評価方法で、通常より土地の評価額を下げることができるものです
この「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となるかどうかを判定するには、色々とチェックが必要ですが、主なポイントとしては下記のとおりです
面 積
「地積規模の大きな宅地の評価」を適用できる土地は、三大都市圏に所在する土地のうち500㎡以上の土地、それ以外は1,000㎡以上の土地です
まずは、評価対象地の所在地が三大都市圏に該当するか、それ以外なのかを確認します
三大都市圏とは首都圏、近畿圏、中部圏をさし、対象となる市町村は法律で定めらています
- 首都圏:次の都県の一部(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県)
- 近畿圏:次の府県の一部(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)
- 中部圏:愛知県の一部、三重県の一部
地区区分
財産評価基本通達では地区区分が7つ規定されています
路線価地域では、このうち「普通商業・併用住宅地区」「普通住宅地区」に所在する土地のみ「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となります
倍率地域では、地区区分についてとくに制限はありません
指定容積率
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となるのは、指定容積率が 400%(東京都の特別区においては 300%)未満の地域に所在する宅地です
指定容積率は、自治体のホームページなどから確認できます
その他
面積、地区区分、指定容積率の他に、除外規定として
- 市街化調整区域で宅地開発ができない地域
- 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域
- 大規模工業用地
のいずれかに所在する宅地は、「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となりません
共有地への適用は全体の面積で判定
前述したとおり、「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となるのは、三大都市圏に所在する土地のうち500㎡以上の土地、それ以外は1,000㎡以上の土地です
つまり、宅地の面積が一定以上あることが必要です
では、ある宅地を夫婦や兄弟で共有している場合、面積をどのように考えて判定するのでしょうか?
一定面積以上の大きな宅地を共有している場合、各自の持分から算出した面積ではなく、共有地全体の面積で適用基準を満たすかどうかを判定します
たとえば、三大都市圏の普通住宅地にある500㎡の宅地を亡くなった方とその配偶者で所有していた場合、各自の持分では適用基準(三大都市圏で500㎡以上)を満たしません
しかし、共有地全体の面積は適用基準を満たしているため、この宅地は「地積規模の大きな宅地」として評価します(指定容積率などその他の条件も満たしている場合)
判定はフローチャートで
三大都市圏なら500㎡以上の土地、三大都市圏以外であれば1,000㎡以上の土地が、相続財産に含まれている場合は、「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となるかどうか検討してみましょう
地区区分や指定容積率などその他にも色々なチェックポイントがありますので、国税庁からでているフローチャートなども活用するといいでしょう
「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象となった宅地は、路線価地域であれば、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します
***編集後記***
昨秋、開催された研修で多く取り上げられていたのが、この「地積規模の大きな宅地の評価」
平成30年以降相続開始で、対象となる事例が多く見受けられるようになりました
該当するかわからない方は、土地評価に詳しい税理士にご相談ください
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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