令和3年分の所得税の確定申告書は
おおきなレイアウトの変更はないものの
脱ハンコによる押印欄の廃止のほか
事業所得や不動産所得に「区分」欄が創設されるなどの変更があります
すこしずつ変わっている所得税の確定申告書の様式
毎年、所得税の確定申告をしている方でも、申告書の様式が異なったり、記入すべき箇所が増えると、戸惑いを感じることがあるでしょう
令和3年分の所得税の確定申告書は、レイアウトのおおきな変更はないものの、細かい変更や追加事項がいくつかあります
昨夏の時点で、公表されていた主な変更点に、つぎのものがあります
- 氏名欄右横の「押印欄」の廃止(脱ハンコによるもの)
- 特定配当等の住民税の「申告不要欄」の追加
押印欄の廃止は、いうまでもなく脱ハンコの動きによるものです
また「住民税に関する事項」という箇所に、特定配当等について住民税の「申告不要欄」が新たに設けられたのは、所得税で所得に含めた上場株式等の配当について、住民税ではそれらを申告しないことを選択する際に、わざわざそのためだけに住民税を申告する必要がないよう、所得税の確定申告書にその旨を記載できるようにすることを目的としています
事業所得と不動産所得に関する「区分」とは
所得税の確定申告書には「確定申告書A」と「確定申告書B」のふたつの様式があります
「確定申告書A」は、主に給与や年金所得のみなどの方が利用する様式の申告書です
「確定申告書B」は、所得の種類にかかわらず、どなたでも使用できるものです
たとえば、事業収入や不動産収入がある場合は「確定申告書B」を使用します
確定申告書Bでは、令和3年分から事業所得や不動産所得の収入金額を記入する箇所に「区分欄」が創設されました
事業所得や不動産所得の収入金額を入力(記載)した場合には、「区分欄」に、その年の記帳や帳簿の保存状況等について、該当する帳簿の種類等(1~5)を選択して記入します
備え付けている帳簿の種類や保存の状況により、以下の5種類から選択します
1,電子帳簿(税務署長の承認をうけたもの)
電子帳簿保存法の規定に基づき、税務署長の承認を受けて、総勘定元帳、仕訳帳等について電磁的記録等による備付け及び保存を行っている場合
2,会計ソフト等で作成した帳簿(1を除く)
会計ソフト等の電子計算機を使用して記帳している場合(1に該当する場合を除く)
3,1及び2以外の帳簿(複式簿記)
総勘定元帳、仕訳帳等を備え付け、日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳している場合(1及び2に該当する場合を除く)
4,1から3以外の帳簿(簡易な方法)
日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)以外の簡易な方法で記帳している場合(2に該当する場合を除く)
5,上記以外(記帳の仕方が分からない等)
上記のいずれにも該当しない場合(記帳の仕方が分からない場合を含む)
不動産収入の区分欄には「区分1」「区分2」の2種類があります
不動産収入の帳簿の保存方法については、事業収入の区分欄と同様に、不動産収入の「区分2」欄に記載します
【参考】不動産収入の「区分1」は、<国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算等の特>の適用がある場合に「1」と記入する箇所となります
その他の雑所得にも「区分」欄
公的年金や個人年金、副業や仮想通貨などによる収入があった場合に該当する「雑所得」にも新たな「区分」欄が新設されています
令和2年分から、雑所得は、
- 公的年金等
- 業務
- その他
の3つにわけて記載するよう様式がかわりました
このうち、雑所得の「その他」に「区分」欄が令和3年分より設けられました
これは、個人年金や暗号資産取引に係る収入の有無を確認するための項目です
- 個人年金保険の収入がある場合は「1」
- 暗号資産取引(仮想通貨)の収入がある場合は「2」
- 個人年金と暗号資産取引、両方の収入がある場合は「3」
を記入します
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、該当する場合には質問があらわれて、それに回答することで必要な欄には記入が埋まるようになっていますので、あまり心配はいらないのではないかと思います
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