「コストではなく投資だ」という一文に目がとまりました
かつて「ブラック」と揶揄された企業の社長の言葉です
待遇改善をすすめ、新規出店を減らした結果、税引き利益は減少
それでも「コストではなく投資だ」と社長は考えています
コストか、投資か
かつて「ブラック企業」と揶揄された外食チェーン店があります。
店長や新人への猛烈な研修で知られ、店舗に勤務する男性従業員が長時間労働などで鬱病になったと労災認定され、その後は賃金未払いも判明。
インターネットに批判の書き込みがあふれました。
スパルタ研修は廃止、一部の店舗では深夜営業をやめ、待遇改善をすすめ、新規出店を減らした結果、税引き利益は前年同期比減。
それでも社長は「コストではなく投資だ」と考えています。
情報の非対称性とブラック企業
世間に「ブラック」と受け止められると、働き手の確保は難しくなり、客足も遠のきます。
店舗などを営む企業では、とりわけ影響がおおきいでしょう。
しかし、店舗を営むわけでない一般の会社では、その会社が「ブラック」であることが取引先などにわかるのでしょうか。
従業員の入れ替わりがおおい、明らかにその会社にとって営業時間外であるのに、早朝・夜間でも電話やメールに反応がある、土日対応も日常的、という場合、従業員に負担がきているのは明らかです。
とくに、従業員の入れ替わりが激しい会社は要注意でしょう。
すこし専門的な話となりますが、就職活動などの舞台である「労働市場」は「情報の非対称性」が強くはたらく市場として知られています。
「情報の非対称性」というのは、モノの良し悪しの情報を一方の当事者しか知らないため、もう一方の相手が買おうと思ってもそれが良いものなのか、そうでないのかを見分けるのが困難な状況をいいます。
自由主義の社会では、情報はひろく行き渡り、市場にまかせておけば、うまく均衡する、という仮定がありますが、現実には、こうした「情報の非対称性」が存在しています。
インターネットなどの普及により情報の入手が容易になっている現代でも、労働市場における「情報の非対称性」は深刻で、面接に来た人物が優秀であるか、会社にブラックなところがないか、を見極めるのは非常に難しいのが現状です。
投資という観点で好循環へ
かつて「ブラック企業」だった冒頭の企業。
待遇を改善し、一時的な利益の減少に目をつむり、新しい道を歩んでいます。
従業員を「コスト」としか考えられない企業はやがて衰退します。
あまりにも悪かった待遇を是正しているだけであるならば、それは「投資」ではありません。
しかしながら、会社が正しい方向を向けば、業績も、従業員も従いてくるでしょう。
ブラック企業は、経験を積んでせっかく仕事に慣れた人材が辞める→育成にかけた時間と費用が無駄になる/ほかの従業員のモチベーションがさがる/新しい人を雇うコストがかかる、という悪循環にはやく気づきましょう。
そして、従業員をコストと思わず、有形無形の投資をしてみてください。
モチベーションをあげる一言をかけるだけでも、好循環がはじまります。
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