日本の法人の海外支店などに1年以上の予定で駐在するサラリーマンが
日本国内にある不動産を売却した場合
売主だけでなく買主にも特有の手続きが必要となります
非居住者が国内不動産を売却したら
日本の法人の海外支店などに1年以上の予定で駐在するサラリーマンは、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法では非居住者と呼ばれます
非居住者は、その所得のうち日本の国内で発生した所得についてのみ日本の所得税が課税されます
このため、もし非居住者が日本国内に所有する不動産を売却すると、日本で所得税が課税されます
不動産を売却して得た所得は、譲渡所得といって、原則として確定申告が必要です
海外で働く非居住者であっても、居住者と呼ばれる日本に住んでいる人であっても、譲渡所得の金額の計算方法にかわりはありません
確定申告期限も、翌年2月16日から3月15日までですが、非居住者の場合、確定申告書を提出するときまでにあらかじめ納税管理人を定め、所定の届出書を税務署長に提出しなければなりません
非居住者から不動産を購入した買主は
非居住者から日本国内にある不動産を購入して、国内で支払いをする買主は、その売主である非居住者に支払をする際に、10.21%の税率で、所得税を源泉徴収する必要があります
買主が売買代金の10.21%を源泉徴収し、税務署にあらかじめ納付し、売主である非居住者が確定申告を通じてこの金額を精算します
源泉徴収ときくと、給与や一定の報酬の支払いをする個人や法人に関係するものを思い起こす方もいらっしゃるのでは…
しかし、非居住者に対して不動産の購入代金を支払った場合には、サラリーマンであっても、源泉徴収義務者になります
これは、非居住者の申告漏れを防ぐという観点からも、国内で非居住者から不動産を購入した買主は、その売買代金の10.21%を源泉徴収して翌月10日までに買主が納付することになっているためです
ただし、不動産の売却代金が1億円以下で、その不動産を個人(法人ではない)が自身やその親族の居住用として譲り受けたものである場合には、源泉徴収する必要がありません
非居住者でも特例を使えます
非居住者の不動産売買について、マイホーム(居住用財産)を売却した場合の所得税の代表的な特例は使えるのでしょうか
結論から言うと、非居住者であっても特例を使うことが出来ます
3,000万円特別控除
これは、マイホームを売却した場合に所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるというものです
売却した不動産が売主の居住用で、その居住用不動産に住まなくなった日から3年目の年末までに売却していれば、非居住者であっても、譲渡所得の金額から最大3000万円を控除することができます
軽減税率の特例
こちらは、マイホームを売却した年の1月1日時点における所有期間が10年を超えるものについては、上記の3000万円特別控除額を控除したあとの金額について、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算するというものです
これも非居住者であっても、特例を受けることが出来ます
このように、売買の際に源泉徴収されていても、特例を適用する確定申告をすることで税金を取り戻せるかもしれません
日本国内の不動産を非居住者が売却する際には、通常とは異なる手続きが必要になるので、取引に精通している専門家に相談しましょう
なお、賃貸アパート、賃貸マンション、別荘などを売ったケースでは、自己が居住していた居住用財産の売却ではないため、上記の特例の適用はありません
***編集後記***
今日は予報より降り始めが早くて冷たい雨の降る一日でした
首都圏中学受験生お疲れさま 明朝の交通機関にも乱れがありませんように
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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