12月の給与明細をみてビックリ
年間のパート収入を103万円に抑えようと思っていたのに、オーバー!
そんなときはどうしたらよいのでしょうか
*この記事は、投稿日(2017年1月4日)現在の法律に基づいて書いています
*2018年(平成30年)以降は改正が予定されています
103万円超えると何がかわる?
新年早々お友達から連絡が。
昨年のパート収入を103万円に抑えようと思っていたのに、数千円オーバーした、とのこと。サラリーマンのご主人は、奥様の収入は103万円以下として既に年末調整済みです。
103万円を超えると、扶養の対象でなくなる?など、色々な情報から不安でいっぱいになりがち。
妻の給与収入が103万円を超えると、税金に関して考えられうる変化は、
- 本人(妻)の所得税がかかるようになる
- 本人(妻)の住民税が高くなる
- 配偶者(夫)の所得税が高くなる
- 配偶者(夫)の住民税が高くなる という4点。
また、これらとは別に、社会保険料の問題もあります。
夫の扶養として、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)を負担する必要がないのは妻の年収が130万円(被保険者数が500人超の大企業などは106万円)未満のとき。年収130万円以上になると、夫の扶養から外れ、社会保険料が自己負担となります。ただし、年収が130万円未満であっても勤務時間が正社員の3/4以上など一定の条件に該当する場合には、社会保険料を負担するケースもあります。
さらに、ご主人の会社に独自の家族手当などがある場合、その支給対象条件は会社によって様々です。家族手当の支給条件は、社会保険の被扶養者と同じ条件(130万円未満)であることが多いのですが、もし、所得税の控除対象配偶者の条件と会社規定の家族手当の条件が同じである場合には、年間のパート収入が103万円を超えると、家族手当の対象とならなくなってしまいます。
配偶者控除から配偶者特別控除へ
冒頭の友人のように、たとえば、パートの年間収入が103万円を5,000円超えてしまった場合、平成28年の給与収入が103万5,000円となります。
この場合でしたら、ご主人が配偶者控除でなく、配偶者特別控除をうけることで、ご主人の所得税の金額も、住民税の金額もかわらずにすみます。
配偶者特別控除とは、パートなどの給与収入が103万円を超えた途端に控除がうけられなくなるという税負担を緩和するために、103万円を超えても給与収入が141万円未満の場合は、段階的に税の緩和を図っている控除です。
配偶者控除と違うのは、控除額が段階的に設定されている点と、控除をうけようとする納税者(パート勤務をする妻の夫)の合計所得金額が1000万円を超えていると適用できない点です。
控除が段階的に設定されているというのは、以下の表をご覧ください。
たとえば、妻のパート収入が103万円を超えると、配偶者控除は「うけられない」のですが、配偶者特別控除の対象となり、その控除額(38万円から3万円)は段階的に設定され、収入が増えるにつれて減るようになっています。
友人のように、103万円を数千円超えた場合であれば、1,030,001円~1,049,999円に該当するため、配偶者控除は「うけられない」ものの、配偶者控除の代わりにうけられる配偶者特別控除の額は380,000円、と配偶者控除の380,000円と同じ額です(控除の差額0円)。
この場合、夫の所得税、住民税の金額は、妻の給与収入が103万円以下の時とかわりません。
ただし、繰り返しになりますが、配偶者特別控除は控除をうけようとする納税者(この場合は夫)の合計所得金額が1000万円を超えていると適用できませんのでご注意ください。
年末調整のやり直し or 確定申告
サラリーマンの夫が年末調整で配偶者控除をうけた後に、配偶者の収入状況がかわり、配偶者特別控除の対象となることがわかった場合。
ご主人が勤務する会社に事情を説明し、会社は年末調整のやり直しをすることができます。この年末調整のやり直しができるのは、源泉徴収票を社員などに交付することとなる翌年1月31日までです。
年末調整のやり直しができなかった場合には、ご主人が確定申告で、配偶者控除でなく配偶者特別控除をうけるよう申告します。
103万円を超えたのに気付かず、そのままでいた場合、追徴の所得税額によっては、税務署からご主人が勤務する会社に連絡がいき、後日、税金の再計算をして正しい税金を徴収・納付することになるかもしれません。
給与明細や源泉徴収票は年収額をしる大切な資料です。配偶者控除や配偶者特別控除をうける際には、対象となるかどうかをしっかり確認をしましょう。
***編集後記***
年始にホームページをすこしアレンジしてみました。
昨日はブログの投稿がうまく設定されているか不安でしたが、投稿できたのでひと安心。
手持ちの写真で構成しましたが、もっと素敵な写真を撮りたい!という意欲がわきました。
・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・
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